トレパクに関する雑感

すっかりご無沙汰しております、きどころです。
諸々が長丁場過ぎて心がへし折れるかと思いましたが、何とか生きております。

さて、今回の記事はイラストやマンガのトレースについての話をしようと思います。
つい先日、発行した同人誌及び作品を公開しているウェブサイト上のほぼすべてのコンテンツが他の人の作品や、プロの写真家による有料の素材用写真のトレパク*なのではないか、という疑問が投げかけられている割と悪質な同人作家のまとめ記事を読みまして…。そもそも、同人誌などにおけるパクリ・トレースの問題は昔からあり、検証サイトのリンク集**も存在しているほど根の深い問題といえます。
また、糾弾する掲示板においても「何が問題なのかわからない」「二次創作自体が大体原作のパクリなんだからそれぐらいいいじゃない」という書き込みがあり、私個人として思うところがあった為、筆をとった次第です。
*トレースによるパクリの省略形で、他人の作品のトレースで作られた作品を指す
**盗作問題検証リンク集

まずは、何が問題なのか、という点についてをまとめてみようと思います。
いわゆるトレパクとして分類される絵は、イラストなり写真なりの他人の著作物を上からなぞって作られることがほとんどです。さらに昨今はSAIやPhotoshopなど、デジタル描画ツールの普及により、Web上にアップロードされている画像を簡単にコピーし、トレースすることが可能になっており、こうした作画法に対する抵抗もなくなっているのではないかと考えられます。こうした行為の何が問題なのか、と言うとそもそも他の作家や写真家が苦心して探し出した構図やポーズを丸のまま写しとってしまう、という部分です。
例えば写真ならば、特定の構図で一定の光の加減や天候、季節の違いによる風景の差などを考慮してようやく一枚の作品としてのスナップショットが切り取れるわけです。只シャッターを切ればいい、簡単じゃないか、と思われる方も多いと思いますが、写真作品も大変な苦労の元に作られているのです。(余談ですが、私の大叔父は趣味の写真で、海鳥が飛び立つ瞬間を撮影するために数カ月間現場に通ったと言っておりました。苦労のかいあって賞をもらえたそうです。)
こうした苦心の元に成立した著作物を、突然やってきた第三者に勝手に持って行かれて、「私の作品です☆」と言われたらどうでしょうか。撮影者がそもそも持っていた著作物への権利が侵害されたことになります。こうした事態にならないように、著作物と著作者の関係を守るのが、広い意味での著作権法です。
今回話題に登っているトレパクの作品についてもこうしたことが言え、プロがプライドを持って撮影した素材写真をなぞり、「私の作品です☆」と言っていると捉えることができます。
こうしたことは、倫理的に考えて許されないことと思う人が多く、発覚ののちに糾弾され、Web上で同一HNでの活動が出来なくなるほどに追い込まれるケースが大多数です。こうした事例から考えるに、そもそもトレースという行為自体が「悪」として捉えられていると言えるでしょう。

また、「模写とはどう違うの?作風を真似たパロディ二次創作もあるじゃない」という疑問も当然存在するでしょう。
まず、模写については、好きな作品のキャラクターを自分の手で写したいという欲望が根底にあると考えられます。また、マンガ家やイラストレーター志望の方が既存の作家を目標として据え、作風を真似ながら自らの作風を模索するケースというものも考えられます。こうした行為については、既に公開された作品があり、それを模倣したという前提が存在し、きちんと「〇〇作品の△△」「〇〇風」と明記して公開する分には黙認されていることが現状です。(大々的に公開を宣伝していない為に、あまり多くの人の目に留まらないから、とも考えられますが)ただ、流石に非常によく出来た模写作品を「〇〇(原作者)の作品です」とラベルを付けてオークションなり通信販売なりで販売すれば、流石にそれは法に抵触しますが。(要するに、美術品の贋作と同じことです)
こうした模写のあり方に対して、トレースにおいては元画像の構図をほぼそのまま写し取ることができます。ここで問題になるのは構図やポーズといった部分における独自性、意匠性がまるままトレース先の作品に出てしまうこと、トレースされたものはトレース作家のキャラクターの描き方をまとっている為に、一見してそれが「パクリ」であることが分かりにくいことです。こうしたことから、トレース行為は写真家や画家、マンガ家などの創作者が試行錯誤をして創りだした作品の大切な要素の一つである”構図”を盗み、自分の味付けで誤魔化して自らの著作物であると言い張るものであると言えるでしょう。
そして、このような他人の褌で相撲をとるような作品作りを続け、Pixivなどの創作コミュニティーにおいてランキングに入るような影響力のある地位まで上り詰めた人が出た場合、そのファンたちが「あ、トレースでもいいんだ」という誤った認識を抱いてしまい、即売会やWeb上にトレース作品ばかりがはびこるようになってしまったとしれば、それは由々しき問題です。(これは行き過ぎた譬え話ですが。)

続いて、「二次創作自体がそもそもパクリなんだからソレぐらいいいじゃない」という見解についての反論をしてみようと思います。
確かに、二次創作同人は原作のゲームやマンガ、アニメがあって初めて成立する、他人の褌で相撲をとる分野です。これは否定しません。ただ、著作権法に抵触する事例自体が親告罪であり、メーカーや原作者によっては節度を守れば黙認してくれる場合もあります。アトラスのように、ファン活動に関するガイドラインを儲け、ファン活動の一貫としての同人活動を容認してくれている会社も存在しています。このように、ある意味お目こぼしをいただいているお陰で同人活動、同人文化が展開可能なのです。
こうした状況で、もし大々的な原作からの引用、あるいは原作からのスクリーンショットによって構成された同人作品が大々的に売られたら、または、特定ジャンルで第三者から訴えられた作品が出たりしたら、話は変わってくると考えられます。前者については明らかに原作製作側の著作権を侵害し、商業的な活動について損害を与えると捉えられる可能性があります。こうなると、原作者や企業としては同人活動について厳しくせざるを得ません。また、ポケモン同人事件のように、作品のイメージを著しく損なうものを目立つ形で領布した場合などにはやはり二次創作に対する締め付けは厳しいものとなるでしょう。後者については、商用素材のトレースなどで、完全な第三者によって同人作家が訴えられてしまった場合、やはり作品のイメージを傷つけるという理由で規制の目が光る可能性が否定できません。何が言いたいかというと、そもそも日陰で活動しているんだから、無用な騒ぎは起こしちゃダメよ、ということです。

メディアによる”腐女子”や”オタク”のピックアップによって、僕も私もなライト層が増え、同人誌を描く人も増えていることを考えると、こうしたトレパク問題というのは無視できない問題であるように思えます。
増えに増えた同人作家が、軒並みWeb上の写真や画像を著作権フリーだと思い、自らの作品に使用する、というような状況になることは私としてはまずいと考えております。
これによって、同人屋はハイエナみたいなもの、と言われることもよしと考えていません。
同人作家も、その他の創作者もお互いを尊重しあって気持よく創作することが大事なのではないでしょうか。
要するに何が言いたいかといいますと、無用なトラブルは他人に迷惑をかけますし、自分の身にも返ってくるのでやめようね、ということです。

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One Response to “トレパクに関する雑感”

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    […] This post was mentioned on Twitter by やぎやま, 櫻とわんころたん and びあんぬ, ゆせ. ゆせ said: 私も同意見 トレパクに関する雑感http://gmwsc.net/?p=268#more-268 […]

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